【2025年版】補助金でシステム開発を失敗しない制作会社の選び方

【2025年版】補助金でシステム開発を失敗しない制作会社の選び方Webマーケティング

「補助金を使えば、実質1,000万円で3,000万円分のシステムが作れる」
「なるべく安くやってくれる制作会社を選んで、コストを抑えたい」

もしあなたが、こう考えてベンダー選定を進めようとしているなら、そのプロジェクトは高確率で失敗します。

前回の記事で解説した通り、補助金を使ったシステム開発の現場では、制作会社の黒字倒産が珍しくありません。
では、制作会社が倒産したとき、発注者であるあなたに何が起きるでしょうか。


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制作会社が倒産すると、発注者に何が起きるのか

制作会社が倒産すると、発注者に何が起きるのか

起きること(被害)

  • ❌ 制作途中のシステムは動かない(未完成)
  • ❌ ソースコードは暗号のような状態で、誰も引き継げない
  • ❌ 既に支払った費用(数百万〜数千万円)は戻らない
  • ❌ 補助金の要件(実務ができる状態)を満たせず、最悪の場合は不正受給とみなされ補助金返還を求められる可能性

倒産時にかかる追加コストの目安

項目費用の目安
弁護士費用50万円〜
引き継ぎ先への再見積もり元の開発費の1.5〜2倍
仕様書がない場合作り直し(全額再投資)

つまり、「安さ」で業者を選んだ結果、自社が致命傷を負うのです。
本記事では、数多くの失敗事例を見てきた実務視点から、制作会社の倒産リスクを見抜き、プロジェクトを最後まで完遂させるための7つのチェックリストを解説します。


倒産しない制作会社を見抜く7つのチェックリスト

倒産しない制作会社を見抜く7つのチェックリスト

この7つを全てクリアしている制作会社を選んでください。

チェック1:「安さ」ではなく「体制の厚さ」で選ぶ

なぜ「安い会社」が危険なのか
例えば、以下の2社があったとします。

  • A社:開発費2,000万円(最小人数、ドキュメントなし)
  • B社:開発費3,000万円(十分な体制、仕様書込み)

補助金が2/3出る場合、実質負担額は次の通りです。

項目A社(格安)B社(適正)
開発費2,000万円3,000万円
補助金(2/3)1,333万円2,000万円
実質負担(1/3)666万円1,000万円
差額約340万円

差額は約340万円。
しかし、A社が途中で倒産したら、あなたは666万円と時間を失い、何も残りません。

補助金の価値は「安く済ませること」ではなく、「普段なら頼めない体制の厚い会社を選べること」にあります。
倒産しないことこそ、最大のコストパフォーマンスです。

チェック2:制作会社の規模と離職率を確認する

「技術力があります」という言葉は当てになりません。
確認すべきは、その会社にプロジェクトを完遂する体力があるかです。

直近1年間の離職率が高すぎる(デスマーチが常態化している)会社は避けてください。

チェック3:仕様書・設計書が見積もりに含まれているか

「アジャイルなので仕様書は後から」「ドキュメントを削れば安くできます」
これは悪魔の囁きです。

見積もり段階で、以下が含まれているか必ず確認してください。

  • [ ] 要件定義書
  • [ ] 基本設計書・詳細設計書
  • [ ] データベース設計書
  • [ ] 操作マニュアル・保守運用マニュアル

「後から作ります」は信じないでください。

チェック4:契約書に倒産時の引き継ぎ条項を入れる

制作会社倒産時に揉めるのが、ソースコードの権利です。
以下の条項例を参考に、必ずIT法務に強い弁護士に相談してください。

条項例1:倒産時のソースコード譲渡
受託者(制作会社)が事業継続困難となった場合、または本契約の履行が不可能となった場合、受託者は開発中の全ソースコード、設計資料、データベース設計書、その他関連資料を、委託者(発注者)へ無償で開示・譲渡するものとする。

条項例2:段階的支払い(一括払い禁止)
支払いは以下の段階に分け、成果物の検収後に行うものとする:
要件定義(20%) / 基本設計(20%) / 詳細設計(20%) / 開発完了(20%) / 最終納品(20%)

チェック5:営業ではなく実際に作るエンジニアに会う

契約前に、メインエンジニアと直接話す機会を必ず設けてください。

危険なサイン:

  • ❌ 社長が「営業・開発・管理」をすべて兼任している
  • ❌ 技術的懸念点が即答できない
  • ❌ 営業が話を遮る

特に「社長がメインエンジニアを兼ねている会社」は、社長が倒れたらプロジェクトが止まるため、補助金規模の案件ではリスクが高すぎます。

チェック6:発注者側もIT人材を立てる

最大のリスクは丸投げです。
「Webのことはよく分からない」では、確実に失敗します。

  • 用語が分からなければ何度でも聞く
  • 社内に人がいなければ、外部PMやIT顧問を使う
  • 進捗会議には必ず出席する

チェック7:「ついでに」の追加要求をしない

プロジェクト炎上の半分は、発注者側の仕様追加が原因です。
「せっかくだから」「ついでに」という後出しジャンケンが、プロジェクトを殺します。
「必須機能だけで初期リリース」「”あったらいい”はフェーズ2へ」を徹底してください。


制作会社との初回面談で必ず聞くべき10の質問

面談時にこのリストを使ってください。回答の質でリスクが見抜けます。

Q1. この案件の開発チームは何人体制ですか?

⭕ 5名以上(3,000万円規模の場合)、役割分担が明確

❌ 2〜3名、「状況による」

Q2. メインエンジニアは誰ですか?今日来ていますか?

⭕ その場に同席している、技術的な質問に即答できる

❌ 「後日紹介します」、「営業の私が窓口なので大丈夫です」

Q3. 直近1年間でエンジニアは何人辞めましたか?

⭕ 0〜1名、または理由と引き継ぎ状況を説明できる

❌ 答えを濁す、「把握していない」

Q4. 仕様書・設計書は見積もりに含まれていますか?

⭕ 「含まれています。納品物リストをお見せします」

❌ 「アジャイルなので後から作ります」、「削れば安くできます」

Q5. 過去に補助金案件を何件完遂しましたか?

⭕ 具体的な件数と実績を説明できる

❌ 「たくさんやってます」(数字なし)

Q6. 途中で開発が止まったことはありますか?

⭕ 正直に答え、その際の対策を説明できる

❌ 「一度もありません」(嘘の可能性大)

Q7. もし御社が倒産したら、ソースコードはどうなりますか?

⭕ 「契約書に譲渡条項を入れます」「GitHub権限を共有します」

❌ 「そんなことは起きません」

Q8. プロジェクトマネージャーは専任ですか?

⭕ 専任、または兼任でも2案件まで

❌ 3案件以上を兼任、「状況に応じて調整」

Q9. 社長は開発に関わりますか?

⭕ 「レビューのみ」「技術顧問として」

❌ 「社長がメインエンジニアです」

Q10. 御社の財務状況(決算書)を見せていただけますか?

⭕ 開示してくれる、信用調査を許可する

❌ 「言えません」、「信用してください」


【最悪のシナリオ】制作会社が倒産したらどうするか

万が一倒産を知った瞬間にやるべき5つのアクションです。

  1. 即座にソースコード・仕様書を確保(24時間以内)
    サーバーが止められる前に、GitHubやサーバーからデータをバックアップしてください。
  2. 契約書と納品物リストを確認
    何がどこまで納品済みか、支払い済み金額を確認します。
  3. 弁護士に相談(1週間以内)
    破産管財人への対応を相談します。
  4. 補助金事務局に連絡(1週間以内)
    状況を正直に報告してください。虚偽報告は不正受給になります。
  5. 引き継ぎ先の制作会社を探す(1ヶ月以内)
    仕様書とコードを見せて、引き継ぎ可否を判断してもらいます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 大手制作会社なら安心ですか?
A. 確率は高いですが絶対ではありません。
大手でも下請け構造になっている場合、実際に作るのは小規模な協力会社ということもあります。下請け構造と品質管理体制を必ず確認してください。
Q2. 途中引き継ぎの費用はどれくらいかかりますか?
A. 通常、元の開発費の1.5〜2倍かかります。
仕様書がない場合、作り直しになることもあり、費用は2倍以上になります。だから最初の制作会社選びが重要なのです。
Q3. 制作会社の経営状態は調べられますか?
A. はい、可能です。
信用調査会社(帝国データバンク等)に依頼するか、契約前に決算書の開示を求めてください。これを拒否する会社は危険信号です。
Q4. 契約書の内容が不安です。どうすればいいですか?
A. IT法務に強い弁護士に依頼してください。
費用は10〜30万円程度ですが、3,000万円のプロジェクトを守るための必須コストです。
Q5. 補助金前提で提案してくる制作会社は危険ですか?
A. 必ずしも危険ではありませんが注意が必要です。
「補助金が不採択になった場合の対応策があるか」「補助金ありきで無理な高額見積もりを出していないか」を確認してください。
Q6. 制作会社が倒産したら、補助金は返還しなければいけませんか?
A. 状況によります。
システムが未完成で「実務ができる状態」に達していない場合、補助金の要件を満たさないため、返還を求められる可能性があります。早めに補助金事務局に相談することが重要です。
Q7. 「アジャイル開発だから仕様書は後から」と言われました。大丈夫ですか?
A. 危険です。
アジャイル開発でも、最低限の要件定義書と設計書は必要です。「後から」は「作らない」の言い換えである可能性が高いです。
Q8. 発注者側にIT人材がいません。どうすればいいですか?
A. 外部人材を活用してください。
IT顧問を外部から招聘(月10〜30万円程度)するか、PMO(プロジェクト管理支援)サービスを利用してください。丸投げだけは絶対に避けてください。
Q9. 相見積もりは何社くらい取るべきですか?
A. 3〜5社が目安です。
ただし、金額だけで選ばず、「体制の厚さ」「仕様書の有無」「エンジニアとの面談の印象」を総合的に判断してください。
Q10. 実質負担が少ないから安い会社を選んでしまいました。変更できますか?
A. 不安があれば早めに対処してください。
契約前なら変更可能です。契約後でも、「契約内容の見直し(仕様書の追加)」や「追加でIT顧問を立てる」などの対策は可能です。

まとめ|3,000万円の投資を守るために

補助金システム開発は共同事業です。
7つのチェックリストを再確認してください。

  • ✅ 安さではなく体制の厚さで選ぶ
  • ✅ 制作会社の規模と離職率を確認する
  • ✅ 仕様書・設計書が見積もりに含まれているか
  • ✅ 契約書に倒産時の引き継ぎ条項を入れる
  • ✅ 営業ではなく実際に作るエンジニアに会う
  • ✅ 発注者側もIT人材を立てる
  • ✅ 「ついでに」の追加要求をしない

補助金のゴールは採択ではありません。
システムを完成させ、事業を伸ばすことです。
そのためには、倒産しない制作会社を選ぶことが、何よりも重要です。

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【免責事項】
本記事は実務経験に基づく一般的な情報提供を目的としています。法的助言ではありません。契約前には必ずIT法務に強い弁護士にご相談ください。記事中の金額・数字・費用例は目安であり、実際のケースでは異なる場合があります。

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